2009年9月1日火曜日

ドルの崩壊はひとごとじゃない 1

ドル崩壊について調査していると、
良いタイミングでこんなニュースが飛び込んできました。

「落ち込み緩和」と米連銀報告 オバマ大統領「景気後退の終わりの始まり」
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090730/amr0907300137000-n1.htm

さて、小浜さんは
「急落は食い止めた。市場は上向き、金融システムは崩壊のふちを脱した…
事態が良くなっているのは疑いない」
と公言しています。が。
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この「落ち込み緩和」、一時的なものでしかないと僕は読んでいます。

オバマ氏は就任後、金融対策として多額の公的資金を市場に投入して
株価の急落を抑えています。止まったようにみせています。

多方面の専門家によると、
これは一時的な対策にしかならないということを結論付けています。

今現在はたしかに落ち込みは止まったようにみえます、が、

経済の基本的条件(Fundamentals)、

というのは回復しておらず、
いわば経済バブルで何とか今の状態を保っているにすぎないそう。

おそらく今後は以下のような状態に陥ることが考えられるそうです。

1.住宅ローン返済が滞っている約500万人が焦げ付き、RMBS(住宅ローン担保証券)
  が破綻を起こす。
2.RMBS破綻に伴い、CMBS(商業不動産担保ローン債券)が破綻。
3.身近なところでも、クレジットローン、自動車ローンなどの破綻が同時多発的に
  起きて「金融保障専門の保険会社」が破綻してしまいます。

各種ローンは小口証券化されて「金融派生商品」に組み込まれているので、
総額7京円規模(兆より上!)の市場が全壊する可能性が極めて高いとのこと。

そしてこの「金融派生商品」によって運営されてきた「年金」や「保険」も破綻し、
最後は州、連邦政府の財政破綻で米国債とドルが暴落するということです。

(先日、カリフォルニア州がなんとか財政破綻を逃れたとのニュースがでましたが、
「なんとか」、逃れただけなので今後破綻する可能性は高いですね)

このニュースでも登場するFRB(連邦準備制度)のフィッシャー総裁は、
今年2月の時点で米政府の負債は約1京円に達していると証言したそうです。

世界三大投資家と言われるJim Rogers氏は去年末
「米ドルは今後数年間で90%下がる」
と公言しています。

今現在、米ドルは買い手がつかない状況にあります。
現に数年前のイラク戦争の発端はサダム・フセインが
ドルではなく、ユーロでの石油取引に切り替えようとしたがため、
あせった米政府が圧力をかける意味で起こした戦争という話もあります。

これまでは世界中が米ドルを買い支えてきましたが(特にアジア)、
現在では米ドルを保有していることの危険性に気づいた各国が
米ドルを実物資産(鉱物資源、エネルギー)に変え始めています。

今回、オバマ氏は国民を安心させるための報告というよりも
むしろ米国債、および米ドルを保有している国々に
見捨てないでほしいという哀願(もしくははったり)の意味を込め、
こういったコメントをされたのではないかと僕は思います。
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さて、ドルが暴落すると実際どうなるのか。

世界恐慌を上回る深刻な事態に陥ること必至で、
日本が被る損害も「パねぇ」ものになります。

これだけドルと密接な関係にある円が目減りすることはもちろん、
原油、穀物などの価格が暴騰します。

自給自足率が極めて低い日本にとって、
この暴騰は致命傷になるのはみなさんもわかると思います。

社保庁問題以降、年金はもらえるのか、私たちの将来はどうなるんだ、
という国民の声が増えていますが、
そんな「未来」を生きられるかどうかということよりも、
「現在」を生きられなくなる可能性が出てきているのです。

今まで経済に関心を持つことのなかった方々にも是非考えてもらいたいテーマの一つです。

つづき

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