2009年9月15日火曜日

金融危機はなぜ起きたか?

オバマ米大統領が金融規制強化を訴え「歴史を繰り返してはならない」
http://sankei.jp.msn.com/topics/world/1741/wld1741-t.htm
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今回の金融クライシスの主な原因は
2000年以降のサブプライムローン(低所得者向けローン)
ということになっていますが、
実際は約100年ほど前から始まっています。

以下の三つが今回の金融危機を生み出したといっても過言ではありません。

1.大恐慌後の「ケインズ政策」、および「リッチマン革命」の投入
2.レーガン政権が掲げた、財政支出削減と規制緩和の改革法「レーガノミックス
3.「グラス・スティーガル法」の廃止

(サブプライムローンがいまいちよくわからないという方はまずこちらへ)

では上記にあげた3つを説明します。

1929年の世界大恐慌後、アメリカは「ケインズ政策」というものを取り入れ、
財政投入によって経済を回復させようと試みました。
しかし巨額の財政を費やしたため赤字が積み上がり、これを見直す案がだされました。

それが「リッチマン革命」なる新自由主義でした。
これはその名のとおり、リッチマン=金持ちを優遇した政策で、
金持ちには大いに稼いでもらい、そして大いに消費してもらおうということで、
貧困層はそれのおこぼれを与えようという格差社会の始まりともいえる
政策を打ち立てたのです。

そして1980年代にはレーガン政権が「レーガノミックス」たるものを発足。
これは「財政支出削減」と「規制緩和」を主に掲げた金融自由主義でした。
この法案により、それまでの銀行による間接金融から、
債権や証券を用いた直接金融に転換していきました。

これにより銀行と証券会社の垣根が曖昧になり、
商業銀行も融資から不動産の債権の売買に利益を求めるようになりました。

そしてここで投資銀行が急速に成長していきます。
投資銀行の躍進によりそれまで資本市場で
扱わなかったような資産(アドバイスや企業価値の評価手続きなど)も
証券へと変わり、取引されるようになったのです。

これによりサブプライムローンなどを含めた
住宅ローンを担保証券化するモーゲージ・ローン、
中南米の債務や中小銀行の不良債権も証券化され、
企業へのローンも資産担保証券として市場で売買されるようになりました。

1999年には「金融サービス近代化法」というものが成立してしまい、
それまで「グラス・スティーガル法」で禁じられていた
商業銀行の証券業務の兼業がとうとう認められてしまったのです。
これは民間銀行の資金やローンすらも「投機マネー」に組み込まれることを意味し、
証券化、デリバティブ、レバリッジなどの金融工学の発展との相乗効果により、
この投機マネー(幻のお金)が実際経済からかけ離れて巨額に膨れ上がってしまいました。

経済専門家によると、
このデリバティブのひとつであるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が
もっとも危惧されている問題だそうです。

「CDS」とは「信用リスク」を取引するもので、
各々が保有する債権をヘッジする手段として広く使われているそうです。
信用リスクとは、融資先や、社債の債務不履行(債務者が契約などに基づき発生した
債務を弁済しないことをいう)に陥るリスクを指しています。
現在このCDSはおよそ54兆ドルもの市場規模を持っています。

ちんぷんかんぷんかもしれませんが、
簡単に言うとこの54兆ドルという莫大な金額の市場は正当か否かは関係なく、
「信用」のみでなりたっている実に不安定なものということです。
つまり一社でも傾くとドミノ倒しのように破綻の連鎖が起き、
とんでもない事態が起きるということです。

現在アメリカの不良債権は12兆ドルあると言われています。
このうち救済資金として今年投入された金額はたったの7000億ドル。
これは全体の6%しかカバーできていません。
しかも、この中にCDSは含まれていないということが驚きです。

投資家ウォーレン・バフェットは次のように証言しています。
「CDSは金融の大量破壊兵器」だと。
アメリカは今後もCDS崩壊をなんとか免れようと、
無意味な資金投入を続けるでしょう。そのために苦しむのは私たちです。

アメリカは事実上、財政破綻しています。
去年の11月の段階で53兆ドルの累積赤字を出しています。
これには公的年金、医療保険なども含まれます。

留学生の方々にはピンと来ないと思うので身近なとこで説明すると、
大学運営資金や、奨学金もここに含まれています。

今年に入って急に、クラスが減ったと感じてはいませんか?
これはアメリカの財政難によるものです。
教育機関に支障が出るのは最後です。この意味わかりますか?

「アメリカ救済の可能性はゼロに等しい」、と多くの経済専門家は言っています。
全世界のGDPをはるかに上回る額の負債を抱えたアメリカはもう
それを踏み倒す以外道は残ってはいません。
悪あがきを許せば許すほど、国民、そして後には国外にも影響を及ぼします。
9月30日にアメリカが破綻するかどうかは神のみぞ知る、という感じですが、
確実に破綻を宣言せざるを得ない状況に陥っていることは確かなのです。

今回のオバマ氏の演説にCDSという言葉こそ出てきていないものの、
僕の解釈ではこのことを最重要視しているという印象を強く受けました。

オバマ氏は一見、システミック・リスク(連鎖破綻の危険)の危険性を訴え、
上記で僕が説明したようなことを言っているように聞こえはしますが、
騙されてはいけません。

彼もFRBの手足でしかないのです。

ここからが大事です。
この金融危機を招いた「金融サービス近代化法」を
成立させた主な人物たちは以下の3人です。

・ロバート・ルービン(当時財務長官・ゴールドマンサックス出身)
・ローレンス・サマーズ(当時財務副長官・ルービンの部下)
・ティモシー・ガイドナー(当時財務次官・ルービンの部下)

危機の要因を作った彼らが10年後の今、
何処に在籍しているかご存知でしょうか?

オバマ政権・経済チームの一員として危機対策を担っているのです。

ゾッとしませんか?
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金融大量破壊兵器。CDSの恐怖
http://www.youtube.com/watch?v=KbGciDHwVOQ

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